今井剛(いまいごう)

大阪在住の写真家。OM SYSTEMアンバサダー。元日本一周旅人。都市にたくましく生きるスズメの一瞬を捉え、身近な命の尊さや小さな営みの美しさをInstagramで発信中。NHK WORLD出演。スズメ写真部会長。人と自然をつなぐ写真の可能性を探っている。

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僕がスズメを撮る理由

僕がスズメの写真を撮り始めたのは約4年前、コロナ禍で生活様式が大きく変わった頃でした。仕事が止まり、遠出も制限された日々に、カメラを持って近所の公園を歩いていました。ある日、桜の花を撮影していたら、ファインダーの中に一羽のスズメが映り込み、花をちぎっているように見えました。後で知ったのは、蜜を吸っていたということ。そんな自然の営みを間近で見たのは初めてで、興味が一気に広がりました。

スズメは身近な存在ですが、一羽一羽に個性があり、豊かな表情や仕草を持っています。警戒心が強い彼らと距離を縮め、自然な姿を写真に収める時間は、まるで心を通わせる特別な瞬間です。

僕が大切にしているのは、「都市に生きる命のリアリティ」。コンクリート脇の花壇で砂浴びをし、電線で羽を休め、人の間をすり抜けるスズメは、たくましく日常を生きています。そんな姿は、僕たち人間の生き方にも重なります。

スズメは近年減少と言われますが、僕は単純な減少ではなく、田舎から都市へ順応して移動しただけだと思います。田舎で人が減ればスズメも減る。そんな身近な命の魅力を写真で伝え、関心と愛情が集まることを願っています。

スズメはただの被写体ではなく、人生の先生でもあります。小さな体で環境に適応し、たくましく生きる姿は、弱さの中の強さや日常の中の感動を教えてくれます。だからこれからも撮り続け、日常の風景に隠れた命の存在を静かに伝えていきたいと思っています。

使用機材

OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II ボディ
M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PRO